できることから2011-03-15 21:42:03

2007年11月にバングラデシュに上陸したにサイクロン「シドル」の2週間後に、復興支援のアセスメントで沿岸部の被災地を訪れたことがある。当時同国政府がまとめた被害は死者・行方不明者4,234人,被災者892万3259人,被災家屋(全半壊)151万8942棟。その被害の原因というのは風や雨ではなく、高潮だった。被災者の人々から襲ってくる波の脅威を聞き、また道路脇に点々と続く土葬の土盛を目にし、その脇でビニールを張って生き抜こうとする人々を前に、自然の破壊力、人間の生き抜く力の強さに圧倒されながら、自分の非力と無力さを感じざるを得なかった。もちろん、仕事でできることはする、というのはあったにしても。

今回の東北の地震についてもまた、連日の報道を見る限りで目の当たりにする津波の破壊力に無力さを感じざるを得ない。ただ、できることは無いと思いたくはない。できることからやっていく、そう考えたい。

同居人の家族は陸前高田の出身で、身内に所在不明者もある。いまさらながら死者・不明者・避難者数は「数」ではなく、その一人一人に悲しみと不安、思いがあるということを思い知る。いつも「貧困」や「開発」にかかわる仕事をしながら、どこかで彼我ととらえていなかったか、自分は数を数としてしか捉えていなかったのではないか、そんな思いにも至る。

ここ数日の間、どこか非日常的な日々を送りながら、そんなことを考えている。