小谷温泉山田旅館 ― 2010-05-20 00:02:40
GWの最終日は、小谷温泉の山田旅館に一泊。
登録有形文化財にも指定されている江戸時代からの建物が守られた情緒ある古い温泉宿。お値段もよく、お湯もよく、浴室のアンティーク?な風情もよく、山旅の最後に良い時間を過ごさせて頂きました。
宿に置いてあった「小谷温泉讃歌~山田寛・雪の中の青春」という本が意外にかなり面白かった。先々代のご主人、山田寛氏の自伝なのだが、日本のスキーがどう変遷していったのか、スキー場なるものがどう誕生したのか、昔の山里のくらしがどうであったのか、興味深い話が満載。山スキー、スキー好きなら一読をおすすめ。一般に販売されていないのが残念。
登録有形文化財にも指定されている江戸時代からの建物が守られた情緒ある古い温泉宿。お値段もよく、お湯もよく、浴室のアンティーク?な風情もよく、山旅の最後に良い時間を過ごさせて頂きました。
宿に置いてあった「小谷温泉讃歌~山田寛・雪の中の青春」という本が意外にかなり面白かった。先々代のご主人、山田寛氏の自伝なのだが、日本のスキーがどう変遷していったのか、スキー場なるものがどう誕生したのか、昔の山里のくらしがどうであったのか、興味深い話が満載。山スキー、スキー好きなら一読をおすすめ。一般に販売されていないのが残念。
今年読んだのを憶えている本 ― 2009-12-23 23:21:42
本は専ら通勤の読み捨て。何を読んだかも忘れがちではあるが。今年読んで「読んだ」という印象が残っているもの。
「1Q84」 村上春樹
「孤高の人」 新田次郎
「悼む人」 天童荒太
「こころ」 夏目漱石
「大地の子」 山崎豊子
"The Almost Noon"Alice Sebold
こうしてみると、一般に良く読まれている作家ばかりですね。
ただいま「上弦の月を食べる獅子」夢枕獏を20年振りに再読中。改めて面白いです、これ。
「1Q84」 村上春樹
「孤高の人」 新田次郎
「悼む人」 天童荒太
「こころ」 夏目漱石
「大地の子」 山崎豊子
"The Almost Noon"Alice Sebold
こうしてみると、一般に良く読まれている作家ばかりですね。
ただいま「上弦の月を食べる獅子」夢枕獏を20年振りに再読中。改めて面白いです、これ。
弥勒 ― 2008-12-29 12:13:10
ここのところ、山とお菓子の話ばかりなので、たまには本の話でも。
少し前に篠田節子の「弥勒」を読んだ。ブックオフで数冊買ったうちの1冊で、予備知識無しに買ったのだけれど、南アジア山岳系に馴染みのある者としては「うわ何これ」というものだった。舞台はインドに隣接するヒマラヤの小国家パスキムなる国なのですが、まあ、これがどうにもネパールやブータンを連想させる訳ですね。著者も両国に取材に行っているようで、(しかもネパールの取材協力者にあがっているネパール人は会った事のある人でした)連想というよりも、そのものに着想を得た、ということだと思うのですが。
ストーリーはある種冒険活劇的であり、南アジアは別にしても面白いものだと思う。「女たちのジハード」や」ゴザインタン-神の座-」(←これもネパールが題材)などなどの著作があり、直木賞も受賞している作家、さすがぐいぐいと読ませる小説です。
他方、読んでいて思いついた点をいくつか。
閉ざされた王国と社会主義的改革のあり方の視点。これもブータンやネパールの政治動向と絡めて考えてしまう。この小説に描かれるパスキムの、宗教と文化重視の上に鎖されたなかでの幸福な国のありようはまさにブータンを思い出させるのですが、ここにネパールの初期のマオイストを思い起こさせるラディカルな共産的改革を行う指導者が登場。当初理想的な平等社会を実現するために農村に、ある種滑稽とも思える統率的規律を持ち込み、最後には上層部の暴走になっていく。ネパールマオイストも一時カルト化していると言われていた時期があり、結果的に現在のような政治的主流化を実現できていなければ、同じような「崩壊」があり得たのだろうか。(と、書きながら、最近のネパールもまた、政権をとった政党の愚劣さを体現しているようでもありますが。政党関係者がメディアを襲撃するとか、本当にひどい。)
外国人が見る外国の視点。身につまされたのは、主人公がパスキム王国に強い憧憬を抱き、その文化を高く評価していたものの、あくまでも表層しか見えていなかったという他者の視点の限界の描写。私自身、ネパールも旅行者の視点で体験したヒマラヤの小国への憧憬が、そもそも今の仕事にかかわる原点でもあるわけですが。国がかわって、旅から仕事にかわっても、何が見えて、感じることができて、理解できるのか。さらに自身の価値観を通じて考えることを、相手にどのように共有(もしくは強要でもありえる)していくのか。外国人がある国に(旅以上に)かかわる時、結局はある種の変化のファシリテーターにしかなれない、という考えに至るものの、同時に自身の価値観というフィルターには自ずと限界がある、というのを改めて考えさせられるところがありました。
他にも色々と示唆的なテーマはあると思うんですけどね。まあ、深読みや南アジアを抜きにしても、単純に小説として面白いというのが最終評価であります。という訳で、機会があればご一読を。
少し前に篠田節子の「弥勒」を読んだ。ブックオフで数冊買ったうちの1冊で、予備知識無しに買ったのだけれど、南アジア山岳系に馴染みのある者としては「うわ何これ」というものだった。舞台はインドに隣接するヒマラヤの小国家パスキムなる国なのですが、まあ、これがどうにもネパールやブータンを連想させる訳ですね。著者も両国に取材に行っているようで、(しかもネパールの取材協力者にあがっているネパール人は会った事のある人でした)連想というよりも、そのものに着想を得た、ということだと思うのですが。
ストーリーはある種冒険活劇的であり、南アジアは別にしても面白いものだと思う。「女たちのジハード」や」ゴザインタン-神の座-」(←これもネパールが題材)などなどの著作があり、直木賞も受賞している作家、さすがぐいぐいと読ませる小説です。
他方、読んでいて思いついた点をいくつか。
閉ざされた王国と社会主義的改革のあり方の視点。これもブータンやネパールの政治動向と絡めて考えてしまう。この小説に描かれるパスキムの、宗教と文化重視の上に鎖されたなかでの幸福な国のありようはまさにブータンを思い出させるのですが、ここにネパールの初期のマオイストを思い起こさせるラディカルな共産的改革を行う指導者が登場。当初理想的な平等社会を実現するために農村に、ある種滑稽とも思える統率的規律を持ち込み、最後には上層部の暴走になっていく。ネパールマオイストも一時カルト化していると言われていた時期があり、結果的に現在のような政治的主流化を実現できていなければ、同じような「崩壊」があり得たのだろうか。(と、書きながら、最近のネパールもまた、政権をとった政党の愚劣さを体現しているようでもありますが。政党関係者がメディアを襲撃するとか、本当にひどい。)
外国人が見る外国の視点。身につまされたのは、主人公がパスキム王国に強い憧憬を抱き、その文化を高く評価していたものの、あくまでも表層しか見えていなかったという他者の視点の限界の描写。私自身、ネパールも旅行者の視点で体験したヒマラヤの小国への憧憬が、そもそも今の仕事にかかわる原点でもあるわけですが。国がかわって、旅から仕事にかわっても、何が見えて、感じることができて、理解できるのか。さらに自身の価値観を通じて考えることを、相手にどのように共有(もしくは強要でもありえる)していくのか。外国人がある国に(旅以上に)かかわる時、結局はある種の変化のファシリテーターにしかなれない、という考えに至るものの、同時に自身の価値観というフィルターには自ずと限界がある、というのを改めて考えさせられるところがありました。
他にも色々と示唆的なテーマはあると思うんですけどね。まあ、深読みや南アジアを抜きにしても、単純に小説として面白いというのが最終評価であります。という訳で、機会があればご一読を。
美しい国とあいまいな日本の私 ― 2007-09-21 23:52:45
いまさらながら、安倍晋三の「美しい国へ」を読んでいる。その直前に、大江健三郎の「あいまいな日本の私」を読んだ。
この2冊って、ある意味似てるけど全然違う。
って比べようとするのが無謀か。
それにしても、知識人で大いなる文学者であっても、政治家ファミリーの坊々でも、西欧と米国の呪縛は驚くほど強い。
さて、三連休。4.5時間後には家を出て、北アルプスへ向かう。
この2冊って、ある意味似てるけど全然違う。
って比べようとするのが無謀か。
それにしても、知識人で大いなる文学者であっても、政治家ファミリーの坊々でも、西欧と米国の呪縛は驚くほど強い。
さて、三連休。4.5時間後には家を出て、北アルプスへ向かう。
パンク侍、斬られて候 ― 2007-07-17 22:39:16
今日から、町田康の「パンク侍、斬られて候」を読んでいるのだが、この感覚、何かに似てるな〜、と思ったら思い出した。
中島らも だ。
なんかすごく似てる気がするんだけど、そう思うのは私だけだろうか。
中島らもは、エッセイは面白いけれど、長編小説は堪え難い。(まあ、色々と意見はあるだろうけれど。少なくとも私には。)その点、町田康は作家だな、と思う。あ、でも本当はロック歌手だったけ。(でも私は彼の音楽を知らない。)
中島らも だ。
なんかすごく似てる気がするんだけど、そう思うのは私だけだろうか。
中島らもは、エッセイは面白いけれど、長編小説は堪え難い。(まあ、色々と意見はあるだろうけれど。少なくとも私には。)その点、町田康は作家だな、と思う。あ、でも本当はロック歌手だったけ。(でも私は彼の音楽を知らない。)
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