グリンデルワルトの夏休み2010-08-09 22:47:23

グリンデルワルトを望む
夏休みのスイス旅行はチューリッヒ空港からベルナーオーバーランドのグリンデルワルトに直行、直帰。スイスアルプスの谷間の小さな盆地の町に7泊8日滞在。世界一美しい村ともいわれる地で涼しい夏を満喫。

あいにく天気には今ひとつ恵まれず、予定していたアレッチ氷河ハイキングは実現できなかったものの、周辺のトレイルを徘徊し、ハイキング三昧。そして初のスイスアルプス、メンヒに登頂。山の頂きでパワーをもらって帰国。

遊び以外ではいろいろと悩み多き日々ですが、アルプスのパワーでまた前向きになんとかやっていこう、っと。

スイスアルプス・メンヒ登山2010-08-09 23:05:09

メンヒピークにむかうクライマー(ピークより)
グリンデルワルト周辺で有名なアルプスの山と言えば、もちろん、アイガー。そのアイガーと、ユングフラウとともにオーバーランド三山に数えられるメンヒ(Mönch 4,107M)に登頂。

メンヒは普通、アイガーやユングフラウに登る人が高所順応トレーニングで登るとのことで、技術的にもアルプス4000m級では入門レベルであり、この山そのものが目的の人はあまりいない。

が、日本でも雪稜歩きは長くやっているものの、アルパインクラミングそのものの経験は浅く、岩は苦手・キライ、でもスイスアルプスの白い峰に登ってみたいというレベルのturtle*tortoiseの今回の旅の目標はこのメンヒ山であった。

標高だけていうと、アイガーよりも高いメンヒ、その頂上からの眺めは日本の雪山や、ヒマラヤの5500Mの氷河からともまた異なる感動的なものであった。

●コースタイム● 9:10 Jungfraujoch - 9:50 分岐 - 12:05 Monch頂上 12:15 - 14:05 分岐 - 14:30 Jungfraujoch

出発前には3日を予定し登山ガイド手配をしていたものの、悪天が見込まれたため、到着後にGindelwaldsports(ガイド組合)4日への変更を依頼。前日にハーネスを借りに行き、翌日の実施をコンファーム、ガイドの名前と連絡先をもらう。

朝7:17分グリンデルワルト駅の始発列車に乗って、ユングフラウヨッホに向かう。ユングフラウヨッホは実に20年前の夏、母の旅行につきあって一度行った事があるのだが、当時は悪天であったこともあり、あまり記憶に無い。ユングフラウヨッホの展望台カフェでガイドのFritz氏と落ち合う。自己紹介して、外へ。快晴。風はない。雪面がまぶしい。まずはメンヒヨッホヒュッテへ、ピステされた斜面を歩く。

メンヒヨッホヒュッテ手前から、メンヒから北に延びる尾根に取りつく。アイゼン、ハーネスとロープを装着。もちろんトップにFritz、最後尾をTurtle*tortoise、間に同居人が入る。アンザイレンして歩く機会があまりないので、keep the rope tightと言われても、要領を掴むのに少々手間取った。

最初はところどころ岩が露出するゆるい斜面を登っていく。当たり前だが、スイスアルプスは基本的に「岩山」で、土の上に雪があるわけではなく、雪と岩のミックスである。そんなことに改めて感心しながら登っていく。しばらくいくとそれなりの岩稜帯、日本の夏山縦走でもあるようなレベルだが、鎖はない。といってもロープに繋がれているので不安もない。turtle*tortoiseは個人的には岩場もピッケルを手に持ったままがお好みなのだが、Fritzがピッケルを手に持たず(腰に差すなどして)登れというので、岩場のたびにピッケルを収納しながら、登った。ガイドは絶対なので抵抗はできません。それにガイドもこちらの力量を把握するまで、ややナーバスなのが見て取れるし。

ここが一番の難しいところと言われた岩場を登りきると、目前には雪壁。その手前の鞍部(地図で3887Mの場所と思われる)で休憩と言われる。休憩は取る事はないと思っていたので、ラッキー!と思いながら、パワージェルを流し込み、ハイドレーションから水を飲み、写真を取る。ユングフラウヨッホ周辺でハイキングをしている人々の姿はすでに蟻のように小さく、相当の高度感。遠くまで白いアルプスの嶺が広がり、Fritzがあれがマッターホルン、等々と教えてくれる。

雪壁を登りきったら西にのびる稜線に出るとわかっていたので、それを励みにするものの、標高が高くなっているため、それなりにつらい。一歩一歩足をすすめて、ついに細い雪稜に出る。先にゆくパーティーが頂上にいるのが見え、左右がすっぱりと切り落ちた稜線をゆっくりと進んで行く。ついに前を行く道がなくなり、頂上。頂上は思いのほかせまく、狭い斜面に3人パーティが2組でぎりぎりである。You made it! と声をかけてくれるFritzと握手、360度の展望に気持ちがハイになる。

先行パーティーが下山開始と入れ替わりに、一組の日本人パーティーが登ってくる。67歳の男性とその奥様と思われる方だが、この男性は1969年にアイガーの壁を登っている由。往年のクライマーだったのでしょうね。この日本人ののクライマーに、Fritzにミッテルギ稜の状況を聞いてほしいと頼まれ、聞いてみると、今年は雪が多くてトレースは無いとのこと、その旨を伝えた。互いに写真を取り合って、こちらは先に下山開始。今度は行きと逆に、turtle*tortoise、同居人、最後に確保するFritzという順番である。

細い稜線上で、日本人4人パーティとすれ違う。その後、雪壁でも日本人4人パーティとすれ違ったが、いずれも中高年の男性パーティであった。山岳会でスイス合宿か、いずれも朝同じ列車で見かけたように思うが、ペースはかなり遅いように思われた。

turtle*tortoiseはとっとと下山派なので、下るペースは早くなりがち。ロープを引きすぎないようにするのに気を使った。岩場はところどころにあるビレイのポールでFritzが簡単に確保しながら降りていく。アレッチ氷河を遠く望みながら高度を下げていき、分岐着。ここで頂上を共有したパーティに追いついた。

ここからユングフラウヨッホの展望台までの帰路はFritzと話をしながらゆるゆると下り。ユングフラウの難易度を聞くと、テクニカルにはメンヒと変わらないが、行動時間が長いとの由。そう聞くと、またいつか登ってみたい、などと思ったりもする。

展望台でFritzといつかの再会を約束して、お別れ。短い山行ながら、高度のせいかいやに疲れたturtle*tortoiseは、しばし放心状態で展望台からメンヒを眺めた。